2023年8月24日 日本経済新聞「なんでもランキング」
8月24日(土)の日本経済新聞・何でもランキング「残したい日本の原風景 棚田や水辺、後世に」に(一社)日本観光文化協会 小塩会長のコメントが掲載されました。
[日本経済新聞 2023年8月24日付]
「重要文化的景観」と呼ばれる人と自然が織りなす風土がある。 大地と暮らしが育んだ固有の水辺や草原、棚田は旅人も魅了する。 地域の人々に守られた、後世に残したい日本の原風景を専門家が選んだ。 ▽大森洋子(久留米工業大学建築・設備工学科教授)▽木藤亮太(ホーホゥ社長)▽金田章裕(京都大学名誉教授)▽小塩稲之(日本観光文化協会会長)▽高橋俊宏(ディズカバー・ジャパン統括編集長)▽千葉千枝子(淑徳大学経営 保存 今週の専門家 STAGING トップ 朝刊・夕刊 LIVE Myニュース 2023/08/24 10:43 残したい日本の原風景 棚田や水辺、後世に - 日本経済新聞 https://preview.nikkei.com/article/DGXZQOFE141I40U3A810C2000000/?k=202308241042 2/19 学部学部長教授)▽富本一幸(トラベルニュース編集長)▽永井ふみ(文化庁文化財第二課文化財調査官)▽長本恵里子(クラブツーリズム首都圏第2国内旅行センター関西チーム)▽山田実希(ロケーションジャパン編集長)▽山野井友紀(日本政策投資銀行地域調査部副調査役)=敬称略、五十音順
1位 宮津天橋立(京都府宮津市)530ポイント
530ポイント 信仰と漁村、重層的な歴史体現
「海の京都」と呼ばれる宮津。その海を約5千本もの松が生い茂る3.6キロメートルの一本の砂の道(砂州)が貫く。「いにしえから続く松並木が海を二分しているように見える」(千葉千枝子さん)。南側にある海水浴場は透明度が高く砂が白い。沖縄の海のように緑色に輝く。 南側の付け根には智恩寺があり「伝統的な門前町の様相をよく残している」(金田章裕さん)。北側の山には成相寺があり「信仰と漁村が複合化した景観は、重層的な歴史を体現している」(小塩稲之さん)。 天橋立は日本三景として有名だが、景観が美しいだけでなく歴史と文化が息づいていることが訪ねるとよくわかる。「漁業とともにある暮らしを感じられる船屋群も丹後半島ならでは」(山野井友紀さん)の景観だ。 人 と自然が共生する日常空間がそのまま観光資源になり、旅にいざなう。観光船には若者のグループの姿もあった。宮津市教育委員会の主任専門員、河森一浩さんは「江戸時代までは参詣の名所として栄え、明治以降は自然の美しさで人を集めた。日本の旅の変化がその景観に残っているのが大きな特徴」と魅力を語る。同市は天橋立の世界遺産登録を目指している。 文 化の香りがする景観に魅了されるように「最近は移住者も増えている」(高橋俊宏さん)という。天橋立は天界と下界を結ぶために立てたはしごが海上に倒れたという神話に由来するが、龍の姿にも見えることから「飛龍観」とも呼ばれる。「2024年の辰年にぜひ訪ねたい」(長本恵里子さん)。@鈴木健撮影Ahttps://www.city.miyazu.kyoto.jp/
2位 別府の湯けむり(大分県別府市)
490ポイント
死生観に通じる「地獄」
温泉大国日本の原風景として専門家11人のうち10人が選んだ。「豊富な温泉資源を生かした暮らしが受け継がれ」(木藤亮太さん)文化的景観の保全活動が先駆的に行 われた地でもある。「血の池地獄」など「様々な『地獄』は日本人の死生観にも通じる」(千葉さん)。 強酸性やアルカリ性など「泉質が違う別府八湯を堪能したい」(小塩さん)、「温泉をはしごするのも楽しい」(高橋さん)と、多様な泉質への評価が高い。「噴気を利用 した『地獄蒸し料理』づくりも楽しめる」(永井ふみさん)。別府の町づくりは「自然と人間が共存するヒントが得られる」(長本さん)との声も。
4位 アイヌの伝統と沙流川(さるがわ)(北海道平取町)
390ポイント
民族文化と豊かな牧野林
平取町は日高山脈から流れる沙流川の中流域に位置し、「アイヌ民族の多様な文化に接することができる一帯だ」(金田さん)。水質調査で1位に選ばれたこともある「沙流川のすがすがしさが、アイヌの人々のたくましさと牧野林の豊かさを引き立 て、唯一無二の景観をつくり出している」(長本さん)。
開拓期以降、農林業に伴う土地利用が進められ「多文化の様相を示す貴重な景観」(小塩さん)。「神と自然と人間が共生したアイヌの世界観がうかがえる」(大森さん)。
@平取町立二風谷(にぶたに)アイヌ文化博物館提供
Ahttps://www.bunkeikyo.jp/landscape/landscape-443
8位 奥飛鳥(奈良県明日香村)
330ポイント
いにしえにタイムスリップ
明日香村の中央部を貫流する飛鳥川の源流域では、スギやヒノキの深い植林地の中に集落と農地がある。「農村風景の背景に日本の歴史を想像したい」(小塩さん)。
ハギなどの万葉植物も見られ、「日本の都が置かれた里山は紛れもなく日本の原風 景」(高橋さん)。「いにしえの時へタイムスリップした気分が味わえる」(山田さん)。自転車での旅も魅力。「彼岸花が咲く棚田を見ながら美しい夕景まで堪能したい」(山野井さん)。近年は若い人たちの移住もあり「景観の維持が期待される」(富本さん)。
@明日香村提供Ahttps://www.asukamura.jp/files/bunkazai_keikan.pdf